超短編小説 108物語集(継続中)
その日からです、第二の人生が……。
もし人の一生を月曜日からの一週間に例えれば、六〇歳は土曜日。ならばこれから始まるシニアはハッピーサンデーであって欲しいものです。
しかし、私はいつか血祭りに上げられる、そんな運命かと戦々恐々の日々になったわけです。
されどもこのままじゃ、座して死を待つようなもの。私はどうしたら殺されずに済むのでしょうか?
課題は『喪失させられるか、妻の殺意を』です。
そして遂に、志乃が「嫌いなことはしない、それが私の幸せよ」と言うように、妻の嫌がることをしなければ良いのだという結論に至りました。かくして私は第二の人生の、夫の三つ心得を宣言したのであります。
1.メシ、フロ、シンブンと要求致しません。
2.整理、整頓、清潔に心掛けます。
3.奥様の時間を束縛致しません。
とどのつまりが単身赴任を引き続き家庭内でも続けろってこと。そして三年後も、必要な時に、アッシー君でお役に立てていれば、妻の殺意は喪失したと言えるでしょう。
さてさて、私に未来はあるのかな? ――Good luck !
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊