超短編小説 108物語集(継続中)
ギョッ!
とんでもないことに、お別れチョコがドッサリとテーブルの上にあるじゃありませんか。もう目の前は真っ暗に。そんな私に、妻が冷たい声で言い放ったのです、「もう別れましょ!」と。
新婚以来、慣れ親しんできたこのフレーズ、しかし、この時ほど絶望感に襲われたことはありませんでした。
ミライと苦労を共にし、ここまで歩んできたのに……、なぜ? たとえ訊いても、答えはわかってます、「だから、もう別れましょ」だと。だけど最後の確認で、なぜ? と尋ねてみました。
するとですよ、今回は違う答えだったのです。お陰様で、私はこれで蘇生でき、これからもミライと共に生きようと決意を新たにしたわけでありまして、その答えとは……。
「明日のあなたに出会いたいわ。だから、このチョコで…今日の古いあなたとお別れしましょ!」
私は思わず嬉し泣き――゚゚(´O`)°゚ ウワーン!!――となりました。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊