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超短編小説  108物語集(継続中)

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 結婚10年、このセリフ、もう何回耳にしたことでしょう。しかし振り返れば、それは新婚時代から始まりました。そう、あれは忘年会の夜でした。ちょっと酔っ払って、流行りの歌を、いわゆる上機嫌で叫びながら帰宅したのです。すると玄関で、ご近所に迷惑だと鬼の形相で、「もう別れましょ!」と投げつけてきたのです。

 もちろん、いっぺんに酔いが醒めてしまいましたよ。だって、永遠の愛を誓い合って一緒になった仲ですよ。それが、いきなりの「もう別れましょ!」ですよ、ホント理解不能でした。

 それで「なんで?」と訊きますと、新妻から冷たい言葉が――「だから……、もう別れましょ!」ってね。これって、理由は「だから」の中身ってことですよね。そこで思い当たる節があり、そっかー、行動が粗雑、だからか! と私はハッと目覚め、すぐに頭を床にすりつけて、「これからはおとなしく帰って参ります」と謝りました。

 されども軽率でした。それからというものは、例えば、満員電車内で口紅が襟にアクシデンタリーに付いても、また歯間に挟まった青ネギを爪楊枝でゴリッと取っても、ガラガラとうがいした後、思わず水をゴックンと飲んでしまった場合でも、ミライはいつも離婚を迫ってくるようになりました――「もう別れましょ!」と。

 だけど、そんな催促を度々突きつけられてもね、子供もできたし、家のローンもたっぷり残ってるし、それに離婚するって、結構面倒くさそうだし、右から左に聞き流してきました。