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超短編小説  108物語集(継続中)

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「おっおー、生きてるぞ!」
 思わずこう叫んでしまった幸介、もう放っとけない。起きろよとお姉さんの白いほっぺをパチパチと平手打ち。それに反応してか、口をモゴモゴと動かして応答してくれた。「猛スピードで」と。

「はっ?」
 幸介は何のことかさっぱりわからない。しかし女は続けて放つ、「惑星が落ちてくる」と。
 なるほど、これは一大事だ。そこで幸介は思い出した。
 地球滅亡の事態に陥る時、人類はパニックとなる。そして社会は大混乱する。これを沈静化するため、人の脳内に一時強制睡眠を命じるチップを埋め込むこと、これが最近義務付けられたのだ。

 だが幸介はまだそれを実行していない。結果、この女からのまた聞きだが、明後日辺りに小惑星がぶつかってくると理解し、やっぱりパニックに。

「安全な所に逃げましょう」
 幸介は女を無理矢理起こし、手を引っ張って、道路でガーグーと高鼾の人たちの間を猛スピードで駆け抜ける。されどもサラリーマンの性、安全な場所と言っても、勤務するオフィスくらいしか思い付かない。