超短編小説 108物語集(継続中)
ジリリーン、遅巻幸介は心地よい朝の眠りを破られ、腹立たしい。そのせいか、すぐさま目覚まし時計に手を伸ばし、ブツリと切った。それから寝返りを一つ打ち、あとは仕事仕事、会社に行かねばと気合いを入れてベッドから抜け出す。
まだ薄暗く肌寒い。それでも42度の朝シャンでシャキッと目覚め、ビジネススーツを身に纏い、アパートを飛び出す。朝食は会社近くの喫茶店でトーストを囓るつもりだ。
幸介は運良く大手の早井自動車(株)に入社できた。あれから七年も経てば、こんな独身生活にも慣れるものだ。いつもの経路を辿って、いつもの時間に出勤する。そこには苦痛はなく、むしろマンネリとなっている。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊