超短編小説 108物語集(継続中)
やはり満月の夜でした。まずミッキッコの朱雀が淡い月光を受け優雅に飛翔し、以津真天を御所の上空へと誘いました。そこへ青龍の私は一気に天へと昇り、ヤツの胴体に巻き付き、白虎の佳那瑠はヤツの首筋にガブリと噛みつきました。これで以津真天は羽ばたけず、眼下の森にドスンと落ちました。そこへ玄武の悠太が自家製の臭辛毒スプレーを鼻先に吹き付けました。これで以津真天は見事に失神。それからこの怪鳥を宇宙の果てへと繋がる古井戸へと運び、突き落としてやりました。
以津真天はもう地球には戻って来れないでしょう。それでも未練たらしく、いつまで、いつまでと鳴きながら暗い闇へと落ちて行きました。
このように人肉を食い漁る怪鳥を退治したわけですが、1週間後、ミッキッコが「やっとわかったの、なぜ、以津真天が結界を破り舞い降りたかが」と泣きそうな顔で話してきました。確かにこの疑問はまだ解けてません。そこで「何のために?」と問うと、ミッキッコはポツリと…「卵を産むためよ」と。
これは驚きです、すかさず「どこに?」と問うと、ミッキッコは首を横に振り、「わかりません。だけど卵はやがて孵化し、再び以津真天が舞い降りてきて、人を襲うのだわ」と唇を噛みました。この顛末に私は…挫けそう、しかし新たに誓いました。
「四神倶楽部はいつまでも、舞い降りたものは許さないぞ」と。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊