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超短編小説  108物語集(継続中)

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 妻と称する女の名は珠子(たまこ)。そして娘の珠々以外に弟の珠郎がいて、一男一女の四人家族をひょんな拍子でゲットしたわけでありまして。
 仕事と言えば、祈願札を抱え裏山へと登って行き、洞に棲む髭爺に招福の承認印を捺してもらってくることでした。後は神主さんからの差し入れの食事を頂いて、家族みんなで昼寝をしたりの気楽な暮らしです。私はすっかりこの生活が気に入り、サラリーマンを辞めました。

 そんなある日のこと、山でお札を落としてきました。私もここまで神社と関わって暮らしてくると、みな様の願いが籠もった祈願札の大事さが理解できます。早速身支度をして探しに行こうと玄関に立ちました。そんな私に珠子が微笑みながら発したのです。「ご苦労様、私たちは神さまに仕える――猫だからね」と。

 これを耳にした私、珠子たちはニャンコで、俺は猫たちと暮らしてるのかと仰天しました。しかし、そんな私に珠子はさらりと告白したのです。
「あなたも……、猫よ」

 私の趣味は世界でも稀な告白収集。
 あなたも猫よ、こんな告白って、七つ星級の超お値打ちものですよね。私はこんな告白に出逢わせてくれた招き猫神社に感謝し、思わずオヤジ猫の雄叫びを上げてしまいました。

 珠一族の繁栄に、ニャーオー!