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超短編小説  108物語集(継続中)

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 こうして二人は山手線で一巡し、今の東京駅へと戻って来たのだ。
「未来は終点のない山手線外回りにある。だから永遠なのよ」
 こんな結論を下した亜希に、耕介は逆らうつもりはない。だがちょっと不満で、もっと生活感のある近未来を見てみたいなあ、と漏らした。
「じゃあ、おまけで、3年先の品川へ行ってみましょ」と再乗車する。そしてそこで二人は信じられない光景を見てしまう。

 大きな荷物を抱えた男と、赤ん坊を抱いた女、きっと夫婦なのだろう、「初孫に会えるの、お義父さんは楽しみにしてらっしゃるわ」、「ああ、亜希、これから田舎で、三人仲良く暮らそう」と会話しながら新幹線ホームへと足早に去って行った。

 こんな家族の情景を目の当たりにした耕介、背筋をキリリと伸ばす。
「品川駅の、この僕らの3年先の未来を現実にするため、亜希さん、本日よりお付き合いください!」