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超短編小説  108物語集(継続中)

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「パンダはネコ目(もく)にあり、猫や虎と親戚なんだぜ。世の中にトラ猫っているだろ、だからパンダ猫が生存していても別に不思議ではないだろ、そう思わないか?」

 確かにそれも理屈だけど、トラ猫がいるからパンダ猫もいるって、ちょっと思考が飛躍し過ぎてる感じもしました。しかし、ここは学生時代の友人、少し気を遣ってやり、「そのパンダ猫って、どんなヤツなんだよ?」と訊いてやりました。すると浩二はあの頃と同じ満面の笑みを浮かべるんですよね。
「あのなあ、パンダ猫は体長七五センチ、孤独を好み、喉をゴロゴロ鳴らし、その辺を徘徊する。だが小判には興味を示さない」

 私はこれを聞いて、「おいおいおい浩二、それって普通の野良猫じゃん」と文句を付けてやりました。すると浩二はムッとなり、さらに勝手な主張を続けます。
「毛色は白黒のツートーン、目の周りは黒く、尻尾は丸く、雑食。ゴロンと上を向いて遊ぶ。そんなヤツだよ」

「ちょっと待った! 浩二、今度はそれって、まったくのパンダじゃないか」
 私はさらにブーイングです。しかし、浩二は涼しい顔で言ってのけたのです。
「だから、それが――パンダ猫だよ」
 その上に、「パンダ猫はどうも鍾乳洞をねぐらにしていて、奥地の山で遊んでるらしいぜ」と、まあいい加減なことを吐き続けます。私はもうウンザリでした。

 しかし、浩二の次の能書きで、私はコロッと気が変わりました。