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鮎風 遊
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超短編小説 108物語集(継続中)
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時は烏兎匆々(うとそうそう)、それから幾星霜を重ねた。
高原にささや木と呼ばれる大きな木がある。
その根っこには福夫と幸の『幸福』と記された墓標が立っている。
そして人たちは噂する。
満天の星空に、大三角形が作図される頃、ささや木に星々が降り注ぎ、キラキラと光る。
そんな夜に、光沢ある幹にそっと耳を当ててごらん。木の精、幸の囁きが聞こえてくるから。
「そろそろ、幸せになろうね」と。
作品名:
超短編小説 108物語集(継続中)
作家名:
鮎風 遊