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超短編小説  108物語集(継続中)

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 ユーリンは覆い茂った草むらの中で、舶来の皮ベルトで絞殺されていた。
 そこには犯人の指紋が残され、吃驚仰天(きっきょうぎょうてん)のことだが、そのベルトも指紋もイケメンで一番人気の平イズミのものだと判明した。
 さらに蜻蛉が見たという夜に光った物は、近くに捨てられたユーリンのケイタイであり、それが着信したためだとわかった。

 ユーリンと平イズミ、芸能界では訳ありの仲との噂がある。そんな二人の密会デートで、この蛍舞う幽玄の世界を訪ねたのだろう。
「有名人だと前もって聞いていましたので、まず私の家でおもてなしをさせてもらいました。それから暗くなって、仲良く川へと出掛けて行かれましたわ」
 蜻蛉が二人の行動をこう証言した。他に何人かの村人たちは口々に、最初腕を組んで歩いてらっしゃったけど、途中から激しい口論になったようで、男性が女性を無理矢理引っ張って橋を渡って行かれました、と話した。

 もちろん捜査本部は平イズミの行方を追った。しかし、イズミの姿はその夜から忽然と消えてしまったのだ。