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超短編小説  108物語集(継続中)

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「さっ、芹凛の推理を聞かせてくれ」
 二時間ばかり考え抜いた芹凛、コーヒーを入れながら語り出す。

 大女優としてプライドの高い恋慕は、狐山神夫の妻・椿子から告げられた、恋慕の夫・空蒼々にルラという愛人がいると。
 これで頭に血が上った恋慕、まずルラをアトリエで殺害し、死体を床下に遺棄した。それから恋慕はルラに変装し、マンションへと向かった。そして狐山神夫との不倫は棚に上げ、自分に対し愛を貫けなかった夫を刺し殺した。

 恋慕をこんな犯行へと誘導したのは神夫の妻の椿子。
 椿子は知っていた、夫が恋慕と密通していたことを。その天罰にと、事件一週間後に椿子は恋慕を殺め、死体を隠した。

 一方神夫は、すべて明るみにすれば、あなたは俳優を続けられなくなるよ、と妻の椿子から脅され幇助した。
 椿子は不倫絡みで、ライバル夫妻を抹殺し、自分たちこそがおしどり夫婦という世間から褒め称えられる名誉を空蒼々夫妻から奪い取った、ということでしょう。

 ここまで読み解いた芹凛だが、「とは言っても、元々この二組はおしどり夫婦、なぜこんな醜い色恋沙汰を……、起こしてしまったのでしょうか?」と首を傾げる。
 これに百目鬼はギラリと眼光鋭く言い放つのだった。
「本当の鳥のオシドリは、毎年相手を変えるんだよ。だからこの二組は、情欲な鳥の――まことのオシドリ夫婦だったということだ。さっ芹凛、椿子の嘘の涙を曝きに行くぞ」