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超短編小説  108物語集(継続中)

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 蒼々が殺され、かつルラと恋慕の二人の女性が行方不明。こんな異常事態を受けて、俳優仲間の狐山神夫(きつねやまかみお)がカメラの前に立った。
「おしどり夫婦の空ご夫妻に降り掛かった一連の不幸な出来事、痛恨の極みであり、早期解決を望みます」と訴えた。そして横に寄り添う妻の椿子が、おしどり夫婦然として涙を流してる。

 こんな芸能ニュースを、息を凝らして見入っていた百目鬼刑事、フーとなんともやり切れないため息を一つ吐く。
 今日の百目鬼はまことに冴えない。これを見かねた部下の芹凛こと芹川凛子刑事、「こういう時は、事件の最初から洗い直しましょ」と提案した。

 確かにその通りだ。迷路に迷い込んでしまった時は、とにかく原点回帰だ。ヨッシャと頷いた百目鬼、「もう一度、ルラが映った防犯カメラ映像をチェックしてくれないか」と早速指示を飛ばした。
「OK」、芹凛はあえて明るく返し、さあっと暗室へと消えて行った。そしてしばらくして、芹凛が転がるように走り出てきた。
「映ってる女性は――愛人のルラじゃないです!」

 えっと驚いた百目鬼、間髪入れずに「じゃあ、誰だよ?」と。これに芹凛は「変装した恋慕です。画像を拡大してチェックしたところ、指に青色のペイントが付いてました」と声を震わせる。

 朝から絵を描いていたという恋慕、百目鬼もビデオで再確認すると、確かに恋慕だ。それにしてもさすが女優、上手く変装したものだと妙に感心してしまってる。
 その後、気を落ち着かせた二人は、最近入手した情報、すなわち恋慕と狐山神夫が恋仲だという破廉恥な噂も採用し、この犯罪のストーリーを組み立て始める。