小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

超短編小説  108物語集(継続中)

INDEX|444ページ/761ページ|

次のページ前のページ
 


「えっ、あのバスって、幽霊バスだったのか」
 やっと気付いた遥希、ならば、この女は?
 遥希が女を窺うと、ギョッ!

 なんとおどろおどろしいことに、尖った顎を上げ、その下にある大口で唄ってるではないか。

♪ 今夜も 幽霊バスが
  どこかの町を 走ってる
  行く先は 黄(よ)泉(み)の国
  それとも あなたの別世界

  たまたま乗った人間に
  私は恋され 連れられて
あなたの別世界 安アパートに

  夜な夜な歌って上げるわ
  幽霊妻のラブソング   ♪

「おいおいおい、顎(あご)女(おんな)さん、そう歌ってくれるのは光栄だけど、私は恋され、連れられてって、勝手に付いてきたんだぜ。それに、妻って? ちょっと進展が早過ぎない?」
 花形遥希でも一応反発を試みた。

「じゃあ、もう一度、私とバスに乗って、黄泉の国に行きますか?」

 こんな経緯で、冥界の歌姫がアパートに無理矢理転がり込んできた。
 貧乏/もてない/暗いの三拍子を背負った花形遥希、一度もてたらこんな羽目に。それでも、貧乏は相も変わらずだが、夜な夜なの幽霊妻のラブソングで心の暗さは消えたとか。