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超短編小説  108物語集(継続中)

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 浅間山を望む車坂峠、晴れた日には富士山が眺望できる。そして眼下には白樺の森が広がり、夜には星がチカチカと降る。
 そんな聖地に江黒の別荘がある。されども真九は時々悪友を集め、不遜この上ないパーティを開いていた。
 そしてある夜、そう、それは天の川がドッカと宙に横たわる深夜のことだった。別荘に真っ赤な火柱が立った。
 元々良からぬ連中の集まり、この場にいること自体がヤバイ。まるで蜘蛛の子を散らすように不逞の輩たちは闇の中へと逃げて行った。

 朝となり、江黒氏の別荘が全焼したと大々的に報じられた。
 さらに子息の真九が崖から転落した車の運転席から遺体で発見された。さらに驚愕な事実として、若い女性がトランク内で死亡していた、という。

 当局の見解では、乱痴気パーティ時に出火。真九は現場から逃げ、飲酒運転でハンドル操作をし、誤って転落死。またトランク内の女性は、真九たちにより拉致されていた可能性がある、と。
 こんな報道により、江黒への親の責任を追及する集中砲火が始まった。

 それから一週間後のことだった。江黒の妻が白樺の森で自殺した。遺書には、息子が死亡した車は夫のもので、夫がそこに女性を監禁した。これは一族の恥、よって首を吊ってお詫びしたいとあった。

 だが鑑識は、一旦首が絞められ、そこへロープを掛けて吊り下げられた偽装だと結論付けた。
 これで別荘放火を起点とし、より凶悪化した連続殺人事件となった。