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超短編小説  108物語集(継続中)

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 それから3ヶ月後、賢は悦子にプロポーズする。
「ありがとう、だけど、もし結婚するなら……、その前に助けて欲しいことがあるの」
 これが悦子からの返答だった。だが、助けて欲しいって?
 賢にとって悦子は幸せの女神、どうしても一緒になりたかった。「何を?」と訊くと、賢の手を悦子は強く握り締め、「賢さんの上司の笠井祐司(かさいゆうじ)からストーカーされてるの」とただ俯くばかり。

 賢は衝撃を受けた。信頼している笠井部長が……。
 動揺を隠せない賢に、「笠井は単身赴任でしょ。明日の夜、私、決着を付けにマンションに行くわ。だから、その1時間後に荷物を持って来て欲しいの」と悦子が大粒の涙を零す。
 賢は合点が行かなかった。また一人で笠井に会う悦子が心配だった。そんな胸の内を読んだのか、「大丈夫よ、私の言う通りにしてちょうだい」と悦子が譲らない。

 賢は仕方なく、わかったと頷くと、悦子は意味深に「これから起こることは、永遠の秘密ってことにしてね」と微笑むのだった。