超短編小説 108物語集(継続中)
女流ミステリー作家・胡蝶乱舞(こちょうらんぶ)が新幹線こだま号で絞殺された。
このニュースで世間は大騒ぎとなっている。
胡蝶は、例えば執筆しようとする殺人事件、それは現実に可能か、また論理性があるかを徹底的に検証すると言われている。そのせいか根強い人気がある。
反面、胡蝶が抱えるストレスは大きく、今回気晴らしにとゆっくり旅、京都駅午後2時05分発のこだま662号に乗り、熱海温泉へと一人向かった。
新幹線は遅れなく、午後3時07分には時間通り三河安城駅を通過した。しかし、次の豊橋駅への途中、洗面室で絶命している胡蝶が発見された。
走行するこだま内で人気作家が絞め殺された。
即刻捜査本部は立ち上げられ、その初動捜査の結果、胡蝶は名古屋駅から安城駅の間で殺害された。そして犯人は安城駅で降車し、消息を断ったと判明した。
しかれども季節外れのため乗客は少なく、車内並びにプラットホームでの目撃者はいない。
だが一方で、胡蝶は一枚のメモを書き残していた、『太陽のせい』と。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊