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超短編小説  108物語集(継続中)

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 有山弘喜(ありやまひろき)は庭園内の獄門の門柱にロープで括り付けられ、五本の矢で射貫かれた。その上、首がすっぱりと切り落とされていた。

 有山という男、弱者を脅し、金品を巻き上げる犯罪歴がある。町では胡麻の蠅と呼ばれていた。
 また最近、女子高校生の白滝雪菜(しらたきゆきな)に執拗につきまとっていた。女高生はこれに悩み、自殺した。
 こんな事態を受け、ウェブ内で人民裁判なるものが秘密裏に開かれた。これにログインした人民からの投票で判決が下った。

 白滝雪菜を死へと追い詰めた罪は重い。まさしく町の恥。よって死罪の『獄門磔の刑』とする、と。
 その一週間後、有山は人民に拿捕されたのだろう、刑は執行され、首が撥ねられた。
 第一発見者は散歩中の老人。連れていた犬がいきなり敷地内へと。鉄条網を潜り追い掛けると、獄門に生首が転がっていた。
 老人は驚き、まず友人の記者に携帯で相談した。その後警察へ連絡する。これによりマスコミ関係者が先に現場に到着することとなり、現場は荒らされた。
 初動捜査は遅れたが、現時点での主な判明点は次。

 1.犯行推定時刻は前日の18時
 2.有山に射られた矢は、白滝雪菜が通っていた高校の洋弓部の矢
 以上が報告書。
 だが一方の新聞は『獄門磔の刑は執行された』と生々しい現場写真を載せ報じた。そして無法者が殺され、町民はこれに喝采しているところもある、と結んでいた。

 されど決して許されることではない。警察としては早く解決したい。その一環で、捜査一課の百目鬼学刑事と部下の芹凛こと芹川凛子刑事が急遽捜査に加わることとなった。
 二人は早速報告書に目を通した。しかし、二人とも頭を抱える。なぜなら、この犯罪は町ぐるみであり、かつ学校ぐるみであると直感したからだ。