超短編小説 108物語集(継続中)
鬱蒼(うっそう)と茂る木々、一帯にムーンと熱気が籠もってる。それでも良樹は全身に汗を噴き出させながら、道なき道を前へと進む。ここまで来た以上、ここから引き返すのはもったいない。多分もう少しだろう、目指すポイントに辿り着けるのは。
それは十日ほど前のことだった。ネット内の航空写真上をふらふらと飛翔し、何か面白いものはないかなと遊んでいた。そんな時に見つけたのだ、満々と水を湛(たた)えた青い泉を。
山あいを細い清流がくねくねと縫っていた。そしてそれはそのそばにあった。
だが不思議だった。拡大してみると、50×100メートルの長方形のようなもの。どう見ても自然にできたものではなく、人工物のようだった。
「これって、まるでプールじゃないか。なんでこんなところに……?」
こう訝(いぶか)ってしまうと、もういても立ってもいられない。現地へと出向き、それは何かと自分の目で確かめたい。さらにネットで調べて行くと、それはやっぱりプールのようだった。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊