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超短編小説  108物語集(継続中)

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 そんなある休日のことだった。快晴で、青空が広がっていた。もちろん猫は屋根の上で、気持ち良さそうに伸びをしている。
 女はちょっとコンビニでもと外に出ると、どこかの若い男が一眼レフカメラを構えている。
「ちょっと、アンタ、私の家撮ってどうするつもりなの」
 女が文句を付けると、「いえいえ、青空の中にいる猫を撮らせてもらってるのですよ」と、男は申し訳なさそうに言う。その表情がどことなく愛くるしい。

 さらに、「あの猫ね、あっちに木があるでしょ。そこへピューンとジャンプするのですよ。こだわりで、背景が青空でないと絶対にダメでして……。だから、その瞬間を撮らせてください」と訴える。
 だが女にはもう一つわからない。「なんで青空なの?」と訊くと、「実は今年のお告げが青空だったもので」と目が真剣。
 そんな眼差しが純粋で、このお兄さん、家の猫に代わってペットになって欲しいわ、と思った瞬間だった、あの小生意気な猫がピューンと飛翔、お見事だ!

 その一瞬のことだった…バシバシバシ。男は獲物を捕まえる鋭い目で連写。超カッコイイ!
 女はこれでイチコロ、子猫ちゃんに変身しちゃいました。その上、これを機にお付き合いが始まったのでした。

 幸運にもその後はトントン拍子に。すなわち男は、この写真に「猫とアオゾラ」と題名を付け、大臣賞を受賞。それからプロの写真家に転身した。
 もちろん女は「1151」が実り、晩婚ではあったが連れ合いができた。そして写真館「猫とアオゾラ」を開店させ、ただ今大繁盛。まことに幸運な結末だ。


 ところで、最近世間でよく使われる諺がある。
 それは広辞苑掲載候補の──猫とアオゾラ。
 一見、無関係なものであっても、いつか結ばれる縁があり、幸せになれる、ってことらしい。
 そしてもう一つの解釈に──すべては初夢だった──とある。

 いずれにしても、新年の男と女の物語、目出度し目出度し……ニャーオ。