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鮎風 遊
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超短編小説 108物語集(継続中)
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|320ページ/761ページ|
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新(あら)たしき年の始め、ここは由緒ある──お告げ神社。
そこに一人の女がいた。
神殿に向かって二礼二拍手、良い出会いがありますようにと女は祈願する。
その後深々と一礼し、拝殿から下がると、冷気が首筋を襲ってくる。女は冷えた指をゆるりと、ミッドナイトブルーのコートの襟元へと持って行き、真朱(まそお)のマフラーを巻き直した。
こんな女の、久し振りの初詣だ。
作品名:
超短編小説 108物語集(継続中)
作家名:
鮎風 遊