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超短編小説  108物語集(継続中)

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 こんな榊原の夢の再生映像を観てしまった高見沢、頭に血が上る。
「おいおいおい、榊原、おまえの夢の中で、なんで俺の上司になってんだよ。それに可奈子がお前の秘書だって? その上、俺をセクハラで追放するって? お前はいつもこんな夢を見てんのかよ!」

 高見沢の脳天からは湯気が噴き上がる。それに榊原は申し訳なさそうに弁解する。
「高見沢先輩、実は私、最近、胡蝶の夢状態でして、現実の私と、夢の中の私、一体どちらが本当の私かわからなくなってるのですよね。でも、夢の世界の方が楽しそうですよね。あちらで御一緒しませんか?」

 高見沢はもう開いた口が塞がらない。そして思うのだった。
 消えてしまった夢なんて、曝いたところで、ろくなことがない。

 やっぱり夢は忘失してしまうこと、それが一番だ、と。