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超短編小説  108物語集(継続中)

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 烏兎匆々(うとそうそう)、あれから5年の歳月が流れた。夏樹にとって葡萄市の生活は快適だった。その上に一人の女性、陽菜と恋に落ち、憧れだった所帯が持てた。そして長男が生まれ、すべてが──バッチグー。

 そんなある日、陽菜が話してきた。
「今日公民館の掲示板で見たのだけど、この葡萄市って、文学的な創作活動がないでしょ。それで地上から、作家さんを連れてくるらしいよ」
「確かに、文学的な潤いはないよな。それで、どんな作家さんを?」と夏樹は興味津々。これに陽菜は「地上に小説投稿サイト・ノンベがあるでしょ。そこのお題が今回『都市伝説』だって。どうも、そこの投稿者の中から選ぶようよ」とどことなく嬉しそう。

 そう言えば、ノンベ、夏樹は地上時代、風遊鮎(ふうゆうあゆ)のペンネームで投稿したことがある。懐かしい。
 そして陽菜は「私、ノンベのファンだったの。だから、作家○X△さんが適任だと思うわ」と言う。
「そうだな、○X△さんなら最適だね。今度市長に推薦しておくよ」と、夏樹は約束するのだった。