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超短編小説  108物語集(継続中)

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 それから1週間後、単身赴任の高見沢に妻から電話があった。「あなた、今度の結婚記念日に買おうと思ってるの」と声が弾んでる。「何を?」と訊くと、夏子がさらりと言う、「愛レベ判定器よ」と。

 これを耳にした高見沢、「@愛$☆判&」とちょっと複雑で、何を言ったのかよくわからない。そんな高見沢に、「私たちもいずれ還暦よ。その前に、あなたの愛がいかほどのもか見極めておかないとね。だからヅラより崇高なピカピカ光る帽子を」と、有無を言わさぬ気配だ。

 それにしても、どうしたものだろうか? 結果はハート2つだったりして、う、う、う、と胃が痛む。
 だからと言って、明日からニラレバ炒めの日々なんて、すでにメタボだし……、余計に胃が危ない。まさに万事休すだ。しかし、ここは落ち着いて告げる。
「なあ、夏子、俺の愛を今さら格付けしなくっても、長年連れ添ったことがハート5つレベルを証明してるよ。それより、どこかへ旅行しないか?」

 本題をそこはかとなく外したこの代替案、夏子はしばらくの沈黙後口を開く。
「そうね、今さらだわね。だけど、一世一代の豪華旅行で──あなたの愛がホントだったか確認したいわ」
 これに高見沢はやっぱり「%出費$#」と支離滅裂な呟き。それでも最後に絞り出す。

「この世から消え失せろ、愛レベ判定器!」