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超短編小説  108物語集(継続中)

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「高見沢さん、これですよ。ピカピカ光る電光帽子を被せられ、ただただ彼女の写真を見詰めるのですよ。もし愛が本物なら、その時脳内にドーパミンがドバッと溢れて……。その度合いにより、愛の真実度が格付けされるシステムなのです」
 榊原がなぜか流暢に喋る。だが高見沢は榊原の顛末に興味があり、「で、測定したのか?」と尋ねた。
「イエッサー、彼女に無理矢理被せられて、4つハートが取れたのですが」と今度は表情が曇る。

 高見沢は榊原のこの落ち込みがわからない。それでも「科学的に、榊原の愛はハート4レベルと判定されたのだろ、立派じゃないか」と元気付けた。
「先輩、我々は婚約中でして……、4つハートじゃ不充分、最高の5つハートの愛レベルでない限り、結婚はしません。こう彼女に宣告されたのですよ。──人生経験豊かな高見沢先輩、教えてください。どうしたら、5つハートに改善できますか?」

 こんなことを突然聞かれても、高見沢は「うーん」と腕を組むしかない。されども、ここは亀の甲より年の功、「愛レベルを最高の5つハートへと1ランクアップさせるためには、ドーパミンの絶対量を増やせばよい。そうだ、ドーパミンを作り出すレバーが一番。お薦めは、ニラレバ炒めをどんどん食べることだ」と助言した。

 こんなオヤジ説法に耳を傾けていた榊原、「サッスガー、先輩! 愛レベルを最高位にするためには──ニラレバ炒めですか。ご指導ありがとうございました」と明るい笑顔となり、握手まで求めてくる。
「ひょっとすれば、こいつ、アホちゃうか」と、高見沢がその単純さに唖然としていると、「今晩からニラレバ炒めの、飽食テンコ盛りで行きま〜す」とさっさと仕事に戻って行った。