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超短編小説  108物語集(継続中)

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 ラキアーが泣く泣くこんな辞令を受けてから早3年の歳月が流れた。
 チキューのニッポンという小さな島に着任すると同時に名前をひっくり返し、アキラと名乗った。そして意外にも、赤や黄の火花が夜空に飛び散る島国で割に機嫌良く暮らしている。

 なぜならすぐに可愛いチキューのメスと仲良くなり……、どうもこの特別なメスのことをコイビトと呼ぶそうだが、それができたとか。
なぜチキュー生物は論理的な思考や行動ができないのか、その解明をすることがラキアーの使命だったが、今はいわゆるチキュー用語で――メロメロ――状態に。
 こんな異常事態になっているラキアーのことをキャプテンは知らない。

 だがラキアーの任期は満了した。
 そして火花が夜空に弾き飛ぶ頃に、ラキアーをピックアップするために、キャプテンはUFOに乗ってやって来た。

 しかし、まずは上司として、部下がチキューでどう暮らしているかが気に掛かる。そこで早速、こそっとラキアーの行動や会話をチェックしてみる。
 するとどうだろうか、赤や黄、そして青色の火花が煌めき咲く下で……、ラキアーはチキューのメスとこんな会話をしていたのだ。

 メス  : アキラ、宿しちゃったの。
 ラキアー : えっ、そうなの。
       大事な身体だから、こんな所にいたらダメだよ、さあ、早く帰ろう。

 映し出された映像の中のこんな字幕を読んだキャップテン、同星人の命の誕生は生命工場でコントロールされているため、さっぱりわからない。
「何が宿ったんだよ? その上、ラキアーのヤツ、ヤケに慌てて、帰ろうって? チキューの生物は赤や黄の火花を見たら、いっつもすぐに帰ろうって言うんだから、ラキアーも郷に入っては郷に従い過ぎて、ホント摩訶不思議なことに」

 キャプテンはラキアーがこれほどまでに理解不能生物に変身してしまったのかと驚き、もうチキューに残留させるしかないと判断した。
「ラキアー、これからは火花を見てはもう帰ると言って、チキューのメスとともに生きて行けよ」
 キャプテンはこう言い残し、時空を貫き去って行った。

 そして、その後の夜空には、UFOを見送るように、いくつもの大きな火花、いや、花火の輪が――色とりどりに、これでもかこれでもかと眩しく花開くのだった。