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超短編小説  108物語集(継続中)

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 パシッ!
 沙里がまた踊り始めた。アダジオから後半のアレグロへと展開していく三分間のクラシックバレエ。沙里はつま先から指先まで全神経を集め、表情は気位高く、されど風雅に舞った。

 先生の椅子に陣取らさせてもらってる僕は、とにかく沙里に見惚れた。一方鏡の中にいる里沙、この少女も優劣つけがたく威厳があり、美しかった。
 これはきっと──沙里と里沙、この二人の少女がライバルとして認め合い、されど負けじと切磋琢磨してきた結果だろう。このままいけば三日後の発表会、沙里は端麗に舞ってくれること間違いなしだ。

 まことに素晴らしい!
 こんな気持ちの高ぶりが僕の胸に突き上げる。

 それからのことだ、まるでそれとシンクロするかのように、鏡の中にいる僕、いや、ライバルの黒猫野郎から吉兆の雄叫びが上がったのだった。

 ── ニャァ〜オー! ──