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超短編小説  108物語集(継続中)

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「あと一時間くれない?」
 大輝の愛妻、美月がねだってきた。

 たまの休日、二人でゆっくりと美術館巡りをするつもりだった。それが朝起きてみると、美月が急にデパートに行きたいと言う。
 こんな予定変更はいつものこと、大輝は慣れている。それにしても、デパート滞在一時間のつもりがさらに一時間追加、そしてプラス一時間、なんと三時間目に突入しつつある。
 最初美月のショッピングに付き合っていたが、途中「邪魔よ」と冷たく宣告され、そこから待ち合わせ時間だけを決め、別々の行動を取っている。

 大輝はデパートなんぞに興味はない。それに比べ美月は、デパートは魔法の館か、軍資金もないのに目を輝かせ、一人そそくさと。一体どうなってんだ、と家では決して見られないすばしっこさが理解できない。