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超短編小説  108物語集(継続中)

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 笑いの壺紛失と恋泥棒事件、その後、僕はこの二つのミステリーの謎解きに没頭しました。しかし、なかなか解決できませんでした。
 そして一ヶ月が経ち、町のあちこちで噂が立ちました。殺人事件があったと。
「えっ、殺しが」と僕は驚きました。当然放っておくわけにはいきません。
 火のない所に煙は立たない、僕はその火元まで遡り、やっとのことで噂の真実を突き止めました。そして僕には、笑いの壺と恋泥棒の全貌が見えてきたのです。

 諸悪の根源は桜子奥さまの、ちょっとイケメンなダンナでした。
 そう、彼は悪名高き御家殺しだったのです。
 要は、結婚してから育んできた夫婦間だけの笑い、その笑いの壺〈sens of humour〉を家から持ち出しました。そしてダンナは、例えば〈たった一度の注射が効いて こうも逢いたくなるものか〉と寂しい後家さんの心の隙間に入り込み、恋泥棒してしまったのです。これぞ後家殺し、悪名通りの行為でした。
 こんな悪さにより桜子さまからは笑いが消え、美歌さまは愛欲地獄の淵にもう少しで落ちるところだったのです。

 不逞ヤツだ。こんなダンナは許すわけにはいきません。
 僕はダンナを呼びつけて、桜子さまと美歌さまの前で土下座させ、謝らせてやりました。
 これで目出度し目出度し、一件落着でした。