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超短編小説  108物語集(継続中)

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 それぞれに注文したラーメン、大人たちは食べ終えた。だが今、愛沙一人が目の前のラーメンと格闘している。
「愛沙、どうしたのよ、早く食べなさいよ」
 母の真奈美にこう急かされて、愛沙はほっぺをぷーと膨らませた。

「愛沙ちゃん、いいんだよ。お腹が一杯だったら、残しても」
 一郎は見兼ねて、孫に優しく声を掛けた。
「お父さん、そんな甘いこと言わないで。愛沙が食べたいと言ったのだから……。さあ、どっちにするの、食べるの、残すの?」
 母親にこう追い詰められた愛沙、目には涙が。そして一本の麺を箸で摘まみ上げ、訴えるのだ。
「ママ、これ……、ぜんぜん減らないの」

 こんな事態に陥ってしまった愛沙を眺めていて、一郎と夏子は思わずぷっと吹き出した。
 なぜなら二人は思い出したのだ、娘の真奈美にも同じようなシーンがあったなあ、と。