超短編小説 108物語集(継続中)
滝川拓馬は郵便受けから一通の手紙を取り出した。差出人は浜崎優奈とある。
なぜこの年になって、突然に優奈からかと思ったが、不思議なものだ、胸が高鳴るから。
浜崎優奈、拓馬の高校時代のガールフレンドだった。というより、拓馬にとっての初恋の人。
優奈は町の高校へと電車で通っていた。多分田舎の中学校では成績一番で通してきたのだろう。どことなくツンとすましたところがあり、とっつきにくい。そんな優奈と、高校二年の時同じクラスとなった。その上に隣の席となったのだ。
優奈は町の子には何もかも負けたくないと、学業以外でも頑張ってみせる女学生だった。そのくせ時々、少し田舎っぽい三つ編みなんかをしてきて、純情そうなところも見せていた。拓馬はそんな優奈に別段興味があったわけではない。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊