超短編小説 108物語集(継続中)
「次の出し物は、新婦による恐怖のナイフ投げです。今日のところは的を外してもらいますが、いつでも命中できますよ、ということを旦那さまにわかってもらうためのプログラムです」
こう紹介したマキコ姉さん、なぜか嬉しそう。
「ぎょっ、そんな目的だったのか、いやだー!」
智也からはひきつれた叫びが。しかしそれは無視され、智也は標的の前に立たされた。愛莉を見れば、ナイフを手にして不気味に笑ってる。
「さあ、投げるわよ。もし智也に突き刺さったら、ゴメンね。そういう縁だったのよ。だから、覚悟して」
智也の身の毛がよだつ。その瞬間、ナイフがピューンと飛んできた。
ズコッ! 幸運にも智也を外れ、横のボードに刺さった。
そして愛莉からは念押しが。
「もし浮気したら、今度は狙うからね」
これで智也の心身は……、冷凍凝結。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊