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超短編小説  108物語集(継続中)

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 瑛太はこんな吉田の忠告を思い出した。だがツートモの心地よさは捨てられない。
 そんなことを考え、電車に揺られてる時だった。雑音のようなメロディが聞こえてきた。耳障りだ。途中から乗り込んできた若い男から発せられてる。

 ツートモたちを見てみると、明らかに顔が歪んでる。通勤のこの貴重な時間が汚され、もう怒り心頭のようだ。
 それでも電車は走り、次駅へと到着した。
 その時だった、ヒグマオヤジとキリン兄さんが男の腕を取った。狐のお姉も孔雀熟女も悪魔の形相をしている。
 これは危険な状態だ。男はナイフを持ってるかも知れない。しかしこの通勤電車内の小さな社会、その平和を守るためツートモたちが一斉に動いた。

 瑛太にも視線が飛んでくる。何らかの貢献をせよと。だが、どうして良いものやらと迷っている内に、男はツートモたちにボコボコにされ、プラットホームへと叩き出されてしまったのだ。

 国でも会社でも地域でも、そして通勤電車の中でも、人たちは見知った仲間同士で結束する。それは元来なにも悪いことではない。
 しかし、時として悲惨な事態になることもあるようだ。

 はぐれ狼の瑛太、危険には敏感。明日は群れから離れ、車両を変えてみようと決意するのだった。