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超短編小説  108物語集(継続中)

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 そこで度肝を抜かれる。なぜなら優雅に泳いでいるのだ。

 人魚が!

 しかも三匹、いやいや、この場合は三頭と言うべきなのか、それとも三人?
 いずれにしても長い黒髪で色白の、オッパイふくよかな……、下半身がお魚のお姉さんたちがスーイスイと。

 高見沢は口をパカッと開けたままで、直立不動。心身が固体化し、この感動をうまく表現できない。
「お客さん、いい眺めでしょ」
 係員が耳元で囁いてきた。

「ああ、色気があって……、ぞくぞくするよ」
 こう漏らしてしまった高見沢、それにニッっと笑い、「では、次のぞくぞくコーナーで御一服を」と、ほぼ無理矢理に「居酒屋・水族館」へと連れて行かれた。

 この魂胆は、ここで飲食し、お金を一杯落とせということなのだろう。人魚でとっくに思考破壊が起こってしまってる高見沢、お薦め、かつ思惑通りの「一万円、ぞくぞくお頭(かしら)盛り」を注文した。いや、させられた。

 しばらくし、お魚コスプレのウエートレスが大皿で運んできた。それは刺身の横にお頭がゴロンゴロンと盛られている残酷グルメ一品。ピククピクと動く大きな目玉で高見沢をギョロっと睨み付けてくるのだ。

 気色悪く、高見沢にぞくぞくと悪寒が走る。