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超短編小説  108物語集(継続中)

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 高見沢一郎は昼食を終え、デスクで寛(くつろ)いでいる。そんな時に部下の榊原がうつむき加減で通り過ぎようとした。高見沢はとりあえず上司、「おい、どうしたんだよ?」と声を掛けると、榊原は今にも泣きそうな顔をして擦り寄ってきた。

「先輩、聞いてくださいよ。実はもらっちゃったんですよ」
 いつものパッパラパーの榊原とはちと違う。「何をもらったんだよ?」と訊いてやる。
「歳を重ねた先輩には、たわいもないことですが……。バレンタインデーのチョコですよ」

 こんな言い草に、「どっちみち飲み屋のお姉さんからの義理チョコだろ。さっさとお裾分けしたらどうだ」と促した。