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超短編小説  108物語集(継続中)

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 仕組まれた愛ではあった。
 それでも抱かれたまま「私のこと、好き?」といじらしく訊く阿沙子。亮介はその返事の代わりに、人差し指で阿沙子の唇に触れてみる。柔らかい感触が伝わってくる。

 そんな時に、ドアがピンポーンとなり、大きな声が轟いた。
「捜査当局です。ドアを開けてください」

 亮介は無言で阿沙子に軽いキスをした。そして「この迷路から抜け出せる出口がやっと見つかったよ。さっ、二人でそこの窓を突き破って、向こうの世界へ行こう」と促した。
 この言葉には大きく頷いた。そして秘書らしく、亮介に助言する。
「向こうは不便そう、だから携帯電話を忘れないでね。行ってらっしゃいませ」

「じゃあ、先に行って待ってるから」
 亮介はこう言い残し、窓の向こうの空中へと飛んで行った。
 それを見ていた阿沙子、「禁断の恋物語も、これで終わったのね」とどことなく不気味に微笑み、ドアを開くためベッドからすり下りたのだった。