超短編小説 108物語集(継続中)
山々が重なり合った奥地に廃村がある。そしてそこには廃校が残った。しかし最近リフォームされ、再び開校されたようだ。
宇田川聡(うたがわさとし)は山を超え、息を切らして学校の門をくぐった。ここで教鞭を執るつもりだ。
不景気の煽りで、リストラに合った。次の就職先をウェブ上で探していたら、ふと見つけた。
「蘇った山の学校、ここで教え、共に学びませんか」
こんなキャッチフレーズだった。
その後、奇妙な説明が続く。
児童たちと共に暮らす、まかない付きの二年間の寄宿舎生活。ただし子供たちの要望には従うこと。
未婚。
年俸は1,000万円。
宇田川はとにかくこの年俸に飛びついた。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊