遥か彼方【詩集３】
悲しいことも辛いことも
辛いことや
悲しいことや
腹が立ったことは
……なかったことにしたい
楽しいことや
嬉しいことや
幸せなことだけを食べて
生きていけたらいいのに
そうやって嫌なことは全部
なかったことに
臭いものには蓋をして
見て見ぬふりをする
じゃあ辛かった私はどうなるの？
悲しかったことは？
腹がたった私は悪いヤツ？
……ダメなヤツなの？
ある日突然
気がついた
……そんなのだめだって
辛いことも
楽しいことも
悲しいことも
嬉しいことも
腹が立った私も
喜んだ私も
みんな私
だから……のけ者にしないで
辛いときほど
抱きしめて欲しい
悲しいときほど
そばにいて欲しい
だから……受け止めて
どうかのけ者にしないで
ぜんぶ私
一人の私
両方あって初めて一人のにんげん
いやな時も
いい時も
両方あって一人の私
私は私を抱きしめる
私の中にあるすべての私を
私はあなたを抱きしめる
あなたの中にいるすべてのあなたを
良いところもあって
悪いところもあって
それ全部で一人のあなた
両方あってのあなただから
全部の私を抱きしめる
全部のあなたを抱きしめる
世界が全てを包み込む
昼が来て
夜が来る
雨が降って
空が晴れる
太陽に抱きしめられて
世界とひとつになる
どこまでも青く美しい空にこの命がとけていくように……