遥か彼方【詩集3】
君の全て
君は何を見ているの?
君は今どこにいる?
僕は君のそばにいて
君の鼓動すら感じているのに
君の目は少しも僕を見ていない
どこか遠くをさまよっているね
「ああごめん、ちょっと……考えごと」
君はそう言って
すまなそうに僕に笑いかけた
「そう……いいんだ」
僕はそれ以上踏み込めなくて
無理に微笑みを形作ってみせた
君の視線の先にいるものに
君の心を奪う何かに
僕は嫉妬する
いつも一番そばにいて、
いつも君だけを思ってる
こうしていつも君と
温もりを分けあっているのに
君が心を奪われているのは何?
どうしても入り込めない
君だけの領域
目の前にいるのに
僕を拒む分厚い壁
僕にも明かせない秘密って何だ?
僕じゃダメなのか?
僕の全てをあげる
この血の最後の一滴も
魂までも全て君のものだ
僕は欲張りだから
君の全てが欲しい
君の全てが