リーンカーネーション・サーガ
前大会で優勝しているので、何かにつけて、お声掛けいただいてはいる。
「リオン、今日からお前を我が第四王子「リーン・ウォーター・ペンドラゴン」
の側近警備及び教育係りに命ずる。
ただし、王子の事は他言無用とする。
くれぐれも王子の様子などは、外部に漏らさないよう細心の注意を払うよう。」
私は驚いた。王子の様子は他言無用・・・これはどうゆう事だろう?
すると摂政の「マルケル・ド・フランシーヌ」が発言した。
「ここからの話は、絶対に外部に漏らさないよう細心の注意をするように」
と前置きし、話始めた。
「リーン殿下は「無色」である。
リーン殿下は本来なら第四位の王位継承権があるが、魔法能力の有無でこれははく奪される。
場合によっては、養子にだしたり、お亡くなりになる場合もある。」
私は、絶句した、「お亡くなりになる」・・・とは「いなかったことにする」「殺害する」ということか?
自分の息子を・・・あまりにも残酷だ・・・だが、力を示せない王族では・・この王宮で生きていくのは
難しいとは確かに思う・・だが殺すことはないのではないかと思ってしまう。
どうりで、人払いがされている訳だ・・これは下手をすると自分が王子を殺す任務をさせられるかもしれないと
思い、やな汗がでた。
これは、今一度確認しておかないと思い発言してみた。
「一つお伺いしてもよろしいでしょうか」
すると摂政のマルケルが
「なんだ、申してみよ」と言った。
私は思い切って聞いてみた。
「この件は、メアリ王妃殿下もご存じなのでしょうか?」
すると摂政が答えようとしたとき、陛下が手を挙げそれを制し、発言した。
「このことは、メアリには話てはならん。
お前はあくまで、リーンの新しい側近として振る舞うように、朝には必ず前日の様子を「摂政」に報告する事を命ずる。」
とおしゃった。
私は、これは・・・場合によっては本気で王子を亡き者にしかねないな・・・と思い、陰鬱な気分になった。
謁見の間を出た私の足取りは重かった。
栄転どころか・・・
子供の監視とは・・・気が滅入ってきてしまった。
[部屋]
僕が意識を取り戻して?2日目の朝。
どうやら僕は昨日あれからずっと寝ていたらしい・・・
お腹がかなり減っている。
昨日は、夕方ぽかった・・・それから、飲み食いしてないとは!
確か赤ん坊は、3時間置きぐらいに授乳しないといけないんじゃなかったっけ?
我ながらよく平気だったと思う。
それともこの世界では、これが普通なのかな?
そうこう考えにふけっていると、例の母親らしい女性と見知らぬ男女がが入ってきた。
女性の方はメイド服のような格好だ。
僕の世界のメイド服だから本当にメイドなのかはわからないが・・・
この格好はまさに猫耳メイド!
ちなみに髪と目は赤だ。
男性の方は中世風というか何かRPGに出てきそうな貴族風の服装だ。
こちらの髪と目は緑だ。
ちなみに男性にも猫耳!
これは間違いなくこの世界の人間の耳は猫耳のようだ!
「うわー、どんな進化をしたらこうなったんだろう?
やっぱり、ネコ科が進化したとかなのかな?」
なんてことを考えていると男性の方が近づいてきた。
あれ?もしかして、父親かな?
男性は何か、母親と思われる女性に対して礼をしてからこちらに近づいてくる?
夫婦にしてはかなりよそよそしい雰囲気だな?
そうすると、なんと、僕にも何か話かけ、礼をしている。
あれ、もしかして・・・えっとここの家の家臣?とか?
だったらこの家って結構な家柄だったりするのかな?
何か話をし終えると、母親と思しき女性と連れ立って退出していった?
なんだったんだろう?挨拶?かな。
すると今度は、メイドさんが近づいてきて僕を抱き上げた。
哺乳瓶らしきものが近づいてくる。
腹がへっていた僕は無我夢中で、かぶりついて呑みほした。
メイドの女性は少しビックリした様子だった。
僕としては味はミルクだけど・・何かものたりない感じがした。
でもお腹はいっぱいになったようだ。
体が小さいから当たり前か。
歯も生えてないようだし・・今はしょうがないとあきらめた。
僕の満足げな様子を見て、メイドの女性は、僕を元のベットに戻した。
僕は、お腹も膨れたのでやっと落ち着いくことができた。
よくよく周りを見渡してみるとかなり広めの部屋のようだ。
少し離れた場所には天蓋つきの大きなベットが見える。
どうやら母親の寝室?らしい。
状況的に見て、自分は母親の寝室の真ん中あたりの赤ん坊用のベットに寝かされたいるらしい。
不思議なことに、昨日、ほとんど身動きできなかった体が少し動く、もしかして立ち上がれるのかな?
幸い今は、メイドさんはシーツを抱えて出ていき、母親と思しき女性は、先ほどの男性と一度退出したようなので、
今、部屋の中には自分ひとりだ。
僕は思い切って、手すりに手をかけて、体を起こしてみた。
昨日よりかなり体が軽い。
つかまり立ちができた。
自分の体を見てみる。
服装はタオル地のジャンプスーツを着込んでいるようだ。
色は水色。
ふと背後に自分の体が当たった感触がした。
あれ?
そんなに体は大きくないから背後の格子に当たらないと思ったんだけど?
不審に思い振り返ると・・・
腰のあたりから何か白い縄のような・・?
「しっぽ!」が生えていた。
真っ白い毛でおおわれた、まるで猫のような「しっぽ」だ!
こ・・これは・・猫耳にしっぽか・・・まーこの耳だからありえるとは思っていたが・・・この世界の人はやはりみんなこうなのかな?
今度誰か入ってきたら、確認しておかないと。
取りあえず、しっぽのことは置いておいて、周りを見渡してみる。
窓が二か所とドアが一か所、家具らしきのもは天蓋付のベットと壁際に鏡付のドレッサーが見えた。
それと今、自分の乗っている赤ん坊用のベットか・・・
なんだか家具が少ない気がするが、考えるにここの家はかなり大きく、この部屋は、本当に寝室だけにしか
使われてないのだろうと判断できた。
まず、自分の容姿を確認したい衝動にかられたので、ドレッサーまでどうにか行けないものか考える。
今の体でこの高さ、1メートルぐらいのベットを降りられるかな?
取りあえず、ゆっくり、格子を乗り越えてみる、以外に体を支えられる。
ベットの角にしがみつき、その足にしがみつきながら、降りることが何とかできた。
床には絨毯が引いてあり、このまま這いつくばっていっても怪我はしなそうだった。
さっそく、ドレッサーに向ってハイハイし、ドレッサーの前に置いてあったイスによじ登って、恐る恐る、鏡を覗いてみる。
おお!
そこには真っ白な猫耳と真っ白い髪と肌、目は大きく灰色の目の女の子?に見える赤ん坊より少し育った感じの
子供の姿が確認できた。
顔はどうやら母親似らしい。
まあ、男の子は母親に似るってゆうからな・・
よくよく自分の手などをみると、昨日の赤ちゃんの手から少し、しっかりした感じの手になってきているような気が
する・・・もしかしてこの世界の人間は、自分の世界の人間より、成長が早いのかもしれない・・
自分の容姿が確認できたので、今度は外の様子が気になった。
体の向きを変え、イスを降り、今度は窓に向かって這っていく。
作品名:リーンカーネーション・サーガ 作家名:八咫烏