詩~黒~
開いたドアは二度と開かない
遠ざかる
あなたの背中を見つめて
私は一人…広い部屋に佇んでいる
「すぐ戻るから」そう言って
靴を履きながら振り返ったあなたの笑顔
すぐってどれくらい?
煙草を買いに行ったあなたが
「ただいま」って笑ってくれるのを待って……
何度目の月を見ただろう?
部屋の中では、何度も電話のコール音
あなたの携帯はベッドの上だから
この電話はあなたからじゃないよね?
あなたが出て行ったドアを見つめる私の目に
涙は浮かばない
だって……あなたは帰ってくるでしょう?
いつも通り勢いよくドアを開けて
「ただいま」って………
笑ってくれるでしょう?
そんなあなたを見て……
私は少しだけ頬を膨らませて言うの……
「おかえり。遅かった。すごく待った。」って………
そうしたら……
「そう思ったから、走って帰って来たのに……」
って…………あなたは少し困って笑うの…………
どれだけ待てば、あのドアは開くのでしょう?
どれだけ待てば、あなたの笑顔に会えるのでしょう?
早く帰って来て………愛しい人…………