自作お題小説『別れ』
(別れ)もう行かなきゃ
真夜中発車の夜行列車。
私は一人佇んで、長く続く線路の先を見つめた。
「もう行かなきゃ。」
誰に言う訳でもなく呟いてみる。
「ふふふ…。」
何故か笑いが込み上げてきて
ひどくセンチメンタルな気分。
誰にも言わずに 旅立つ私を許してね
何にも告げずに 先行く私を咎めないでね
「……顔……見たら……決意が揺らいじゃうかもしれないじゃない?」
眉をしかめると、視界がぼやける。
ぼやけた視界の先に、列車のライトが揺らめいていた。
私はゆっくりになっていく列車を見ながら、小さく気合を入れた。
目の前に停車した列車。
踏み出した右足。
その足を止めたのは、紛れも無いあなたの声。
「何も言わずに…行く気かよ?」
肩で息をしたあなた。
こんなに寒いのに、うっすら汗を掻いている。
「な……何で…?」
何で…来たの…?
その言葉すら言えずに…
明日も朝 早いんでしょう?
私なんかの為に…そんなに必死になって…
やめて……期待させないで……
あなたに私は似合わない
あなたにはあの娘がいるでしょう?
必死で涙を堪えて、あなたに向けた笑顔。
遠くの方で発車のベルが鳴り響いた。
「………もう………行かなきゃ……。」
今度はあなたに向けたその言葉。
さっきみたいな笑いは、込み上げてこない。
代わりに溢れ出そうになる想いと涙。
私は列車に乗り込んだ。
「俺……っ!俺は………っ!!!」
言いかけたあなたの言葉。
最後まで聞かずに、重い扉が閉まった。
さよなら……大好きだった人
さよなら……私の初恋の人
さよなら……私の恋心
もう……
後戻りは出来ない
「もう……行かなきゃ…………。」
呟きながら、その場にしゃがみ込んだ。
走り出した列車
闇の中を駆け出した……
終わり
真夜中発車の夜行列車。
私は一人佇んで、長く続く線路の先を見つめた。
「もう行かなきゃ。」
誰に言う訳でもなく呟いてみる。
「ふふふ…。」
何故か笑いが込み上げてきて
ひどくセンチメンタルな気分。
誰にも言わずに 旅立つ私を許してね
何にも告げずに 先行く私を咎めないでね
「……顔……見たら……決意が揺らいじゃうかもしれないじゃない?」
眉をしかめると、視界がぼやける。
ぼやけた視界の先に、列車のライトが揺らめいていた。
私はゆっくりになっていく列車を見ながら、小さく気合を入れた。
目の前に停車した列車。
踏み出した右足。
その足を止めたのは、紛れも無いあなたの声。
「何も言わずに…行く気かよ?」
肩で息をしたあなた。
こんなに寒いのに、うっすら汗を掻いている。
「な……何で…?」
何で…来たの…?
その言葉すら言えずに…
明日も朝 早いんでしょう?
私なんかの為に…そんなに必死になって…
やめて……期待させないで……
あなたに私は似合わない
あなたにはあの娘がいるでしょう?
必死で涙を堪えて、あなたに向けた笑顔。
遠くの方で発車のベルが鳴り響いた。
「………もう………行かなきゃ……。」
今度はあなたに向けたその言葉。
さっきみたいな笑いは、込み上げてこない。
代わりに溢れ出そうになる想いと涙。
私は列車に乗り込んだ。
「俺……っ!俺は………っ!!!」
言いかけたあなたの言葉。
最後まで聞かずに、重い扉が閉まった。
さよなら……大好きだった人
さよなら……私の初恋の人
さよなら……私の恋心
もう……
後戻りは出来ない
「もう……行かなきゃ…………。」
呟きながら、その場にしゃがみ込んだ。
走り出した列車
闇の中を駆け出した……
終わり
作品名:自作お題小説『別れ』 作家名:雄麒