小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

自作お題小説『バカ』

INDEX|7ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

(バカ)バカだから…


「どうして判ってくれないの?」
今にも泣き出しそうな顔で君。

「んなの……俺にも判んねぇよ。」
そっぽを向いて、背中越しに俺。

「こんなに好きなのに……。」
俺の背中にコツンと額を乗せて君。

「だったら……何で?」
君の熱を感じて、低い声で俺。

「仕方がないじゃない?ね?お願いだから判って?」
俺の腰に、君の細い腕が回される。

「判んねぇよ……。」
俺は体制を変えずに言う。

「全っ然!判んねぇっ!!」
声を荒げて、腕を振り払って、君に向き合う。

「俺……バカだから………。」
君の両肩に、俺の両腕を置いて、俯きながら言う。


「大丈夫。大丈夫だから…。」
俺の両手の上に、君の小さな手のひらがかぶさる。

諭すような君の言葉。

俺にはやっぱり理解出来なくて。

「…………。」
俺は無言で首を横に振った。


「ねぇ…ちゃんと見て。」

君の…俺より一回りも二回りも小さい手のひらが…
俺の…両頬を挟みこんで、力任せに顔を上げさせられる。


見つめ合った瞳。
俺の目は情けなく潤んでいた。


「判った。」
そう言ったのは君の方。

「判ったから…もう理解してとは言わない。
 …………感じて?心で気付いて?」

君の大きな目がゆっくり閉じて………
フワリと重なった唇。


「好きよ……。一番好き…。
 貴方だけを愛してる。これだけは…忘れないで。」

はにかみながら君。

俺は戸惑いながらも頷いた。


「じゃぁ、行って来るから。」
スッと立ち上がって君。

「えっ!?」
慌てて俺。


君はヒラヒラと手を振って、部屋を出て行った。


「何だよ……それ。」

一人取り残された部屋で、呟く俺の言葉。




「はぁ〜。ちょっと買い物するだけでも一苦労だわ。」

買い物袋を提げた君。
玄関の扉を開けるのは、それから二分後。


さっきその扉が開いてから、わずか二十分。


だって……
一瞬だって離れていたくないんだ……

ね?
君の方こそ判って……?


終わり  微妙にギャグオチ?
作品名:自作お題小説『バカ』 作家名:雄麒