短編小説
線香花火
覚えてますか？
一緒に過ごした日々を
散々飲み明かした夜
深夜の公園でやった花火
打ち上げ花火を手に持って 大声で笑った
線香花火を片手に持って 柔らかく微笑んだ
静かさに…そして鮮やかに夜空に咲かせた
その小さな火の花
落ちなければいいと思った
そうしたら…ずっとこうしていられるでしょう？
燃え続けていてと願った
そうしたら…ずっと一緒にいられるでしょう？
覚えてますか？
あの日の線香花火
小さな音を立てながら燃え盛る炎
他の賑やかなものとは違って それはしんみりと
他の華やかなものとは違って それは静かに
それでも…精一杯その花を咲かせた
小さな炎が…一瞬の炎が…
あまりにも綺麗で…
あまりにも儚くて…
思わず涙が出そうになった
激しくも優美に咲いた…一瞬の花
楽しかった思い出は…思い返してみたら一瞬の出来事の様
美しすぎた花の…短い命
楽しすぎた思い出は…あの花の様
覚えてますか？
あの日の線香花火……静かに落ちた……
終わり 08/08/28