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壇上のNovelist

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第1話 出会い(遥)


  本名…西条 遥(さいじょう はるか)   PN…西条 ヨウ

これでもちっとは名のあるシナリオライター。
ついこないだまで関西で生活しとった。

けど今回の仕事で本格的に、東京に拠点を移した。

「お疲れ様でした〜。」
今日はその仕事の打ち上げで、居酒屋におる。

「西条さん、今回もいい仕事ありがとうございました。」
「いいえ〜。こちらこそ楽しくやらせてもらいました。」
自分を含めて、スタッフ・役者…20人位やろか?

大人数で酒も入って…
自然と周りのテンションもあがる。

(あ…煙草ないやん…。)
煙草の空ケースを軽く振って、握りつぶす。

すっと立ち上がった俺に気づいて、隣におった役者に声をかけられる。
「西条さぁ〜ん。どうかされました〜?」
すでに出来あがっとるみたいやな…。
「いや…煙草きれたんで、買うてきます。」

正直酔っ払いの相手はごめんや。
何でこんなに酔えんのか不思議やし。←ザル。

足早に席を離れた。



「やっ…。あのっ…、困りますっ。」
自販機までの廊下を歩いとったら、すぐ傍の席からそんな声が聞こえた。

ちらりとのぞいてみると、ぐでぐでに酔っ払ったおっさんが
店員に絡んどるのが見えた。

「いいじゃないか〜。ちょっとくらい〜vv」
「まだ仕事中なんでっっ!」
助ける気なんてさらさら無かったはずやのに
あまりにしつこいので、イラッとした。

「あの〜、店員さん。煙草の自販ってどこにあります?」
そう声をかけたら、おっさんに軽く会釈をしてこちらへ駈け寄ってきた。

(何や。こいつ、ちっこいなぁ。)
さっき座っていた(座らせていたの方が正しいか?)時から、小さいと思てたけど…
いざ目の前におるのを見ても、やっぱり小さかった。

「あの…?ご案内します。」
じっと見つめていた俺に、戸惑いながらそう言った。

「ん?あぁ…えぇよ。別に。知っとるし。」
「え…?」
首をかしげて見つめられる。

(でっかい目ぇやなぁ。)

「…っ!!あっ。ありがとうございます。」
やっと理解したらしく、大きくお辞儀した。
「ほんならな。」
背を向けて歩き出す。

「ん…?」
上着が何かに引っかかって、足が止まる。

振り返って見てみると、さっきの店員がシャツの裾をきゅっと掴んどった。
「何ですか?」

俺の声にはっとして、慌てて手を離す。
「あ…。ごめんなさい。」

んな顔しとったら、俺が苛めてるみたいやないか…。
「はぁ。自分…いくつや?あんたみたいな子供雇ってこの店大丈夫なんか?」
ため息混じりに言う。

「な…!?これでもあたしは19歳ですっ!!」
耳まで真っ赤にして怒っとった。
ガキや…マジでガキやんけ。おもろいなぁ、こいつ。

「せっかくお礼でもって思ったけど、もういいですっ!!!ありがとうございましたっ!!!!」
相変わらず怒りながら、厨房へ戻って行った。

その後姿を見送りながら、笑いをこらえる。



煙草を買うて、席に戻る。

「遅かったですね。」
早速声をかけられる。
「え…。まぁ。」

「何かいいことありました?」
「は?」
いきなり何を言うてんのや?

「だって、何か楽しそうですよ。」

そう言われて、そう言えば最近、あまり笑って無かったなと思い出した。

続く→
作品名:壇上のNovelist 作家名:雄麒