「夢の中へ」 第十四話
「電話掛けなさいよ」
「うん、そうだった」
家の受話器をとって、母親から渡されたメモを見て携帯へ電話した。
「ただいま電話に出れません・・・」
留守電に切り替わった。
「初めまして・・・助けていただいた柳田まどかといいます。元気になりました。本当にありがとうございました。またお電話します」
そういい残した。
夕飯を食べている時に電話が鳴って母親が出た。
「もしもし、柳田ですが・・・あっ、あの時の方、はい、居りますので代わります。まどか!電話よ」
「はい、代わりました・・・まどかです」
「電話出れなくてごめんなさい・・・寝ていたもので。元気になってよかったね、倒れていたから心配したんだ」
「ありがとうございます。なんとお礼を言ったらよいのか・・・助かりました」
「丁寧だね、中学生だろう?感心だなあ」
「そんな・・・お仕事の帰りだったのですか?」
「そうだよ。コンビニでバイトしているんだ。昨日は24時を回ったところで終わったから、キミを見つけたのは1時少し前ぐらいだったかな」
「そうでしたの。どうして倒れていたのか、解らないんです」
「あんな時間にどうしてあそこに居たの?」
「約束があって・・・」
「誰と?」
「信じてくれますか?」
「まだ聞いてないよ。言ってごらん」
「夢に出てきた戦国の武者に12時に待ってるから来いと告げられんです」
「それで出かけたの?変じゃない?あんな時間にそれも一人で、怖いと思わなかったの?」
「思いましたけど、そうしないと弟を・・・」
「弟に何かするって脅されたのか?」
「そのような意味合いのことを聞かされました」
「ふ~ん、不思議なことがあるものだ」
「どういうことですか?」
「俺はその日の昼間に寝ていて夢を見たんだ。仙人塚の前に立っている自分が居たんだ。意味は解らないけど、その光景がずっと頭に焼き付いていて帰り道じゃなかったけど、バイトが終わってから向かったんだよ。そうしたら・・・キミが倒れてた、って言うわけ」
「本当のことですか!」
作品名:「夢の中へ」 第十四話 作家名:てっしゅう