秋の碧い空
理想の花嫁
京一が心に思う花嫁は舞子であった。しかし舞子はすでに結婚していた。京一に見合いの話がいくつかあったが、すべて断ったり断られたりした。
今の京一には誇れるものがなかった。ただ体の不自由な劣等感ばかりがあった。少しだけ誇れるものがあるとすれば、少しのお金くらいかもしれなかった。それは、数学で100点満点を採って名前を呼ばれた時のように晴々しいものではないと感じている。
役所では文芸サークルに入っていた。時々創作を投稿していた。そのサークルに舞子に似た女性がいた。大学を出てキャリヤで入った女性である。設計技師であった。年齢も15歳も離れているし、学歴も違っていた。その丸山小枝子のコメントが文芸誌に載っていた。
同じ体に障害を持つ者としてこの作品に感動しました。前向きに物を捕える主人公の気持ちが生きる勇気を与えてくれます。
京一は丸山小枝子に親近感を感じた。何かこのコメントに自分自身勇気を感じた。創作は京一の願望であったことを書いたまでであった。何か一つでもいいから1番になれるものを見つける。京一は同じ場所に立ってバトミントンの羽を何回打ち続けられるかと言うことに、挑戦している自分のことを題材にしたのであった。馬鹿げたことのようではあるが、やっているうちにいろいろと思考することを感じた。
京一は心に残っていた舞子の残像から少し解放された気持ちになっていた。
秋の碧い空に心が吸い込まれて行くようであった。