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佐々川紗和
佐々川紗和
novelistID. 31371
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的を射る花

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「これで、よろしくお願いします」
ナユ・セガワは書類一式の確認をすると、糸のような目をした初老の男性に手渡した。男は書類を受け取ると、優しげな口調でゆっくりと話しだす。
「はい、お預かりします。明後日からですねぇ、あなたには期待していますので頑張ってください」
ナユは頷くと、きっちりと腰を曲げて頭を下げた。ゆっくりと、かつテンポよく美しいお辞儀に感心したように、男はさらに目を細めて楽しげにナユを見た。
「大体いつもここにいますので、困ったことがあれば何でもお話くださいね」
「はい、ありがとうございます。では、これで失礼します」
ナユは再び軽く頭を下げると、教官室を出ていく。夕方の鐘が鳴ったばかりで教官室のあたりはまだ人が少ない。ナユは足早に人気のない廊下を歩いて行った。今日はこれから学生寮へも赴かなければならないのだ。颯爽と校舎を抜けると、野外訓練らしく砂ぼこりにまみれた学生たちが戻ってきた。
「砂が背中に貼りついて気持ちわりぃ」
「俺も。早く着替えようぜ」
「きれいにしていかないと怒るよな、サラさん」
「客が俺らみたいのばっかだと掃除も大変なんだろ」
訓練が終わり、これから自由時間というところか。ナユは立ち止まって彼らがやってきた方へ目を向けると、だだっ広い敷地が見えた。
(訓練場か―――広いな)
環境が変わってもまだまだ学ぶべきことがたくさんある。自分はもうこの学校の生徒になった。明後日からは彼らとここで訓練をしていく。さきほどの老いた教官も期待していると言ってくれたのだ。どんなことがあるのだろうと期待に胸をはずませて、ナユは再び歩き始めた。
作品名:的を射る花 作家名:佐々川紗和