超短編小説Ⅲ 家の守り神
――それからだよね。
なぜかずっと、一條(いちじょう)家(け)を守るナイトのように、ここにいるのだ。
「おじいちゃんが側にいるみたいだって、ママが言ってたよ」
優花理(ゆかり)は、ママから『しゅごれい』となる者の話を聞いた。天国に旅立(たびだ)った人が、虫や動物に取りついて、家族を守ってくれるらしい。
きっとこの子は、そうなのだろう。
「キミがここに来てからね、ゆかにも色々なしあわせがやってきたよ。ともみちゃんと仲直りができて、運動会のかけっこではいちばんになって、苦手な算数のテストも初めて百点がとれたんだよ。ママとパパとおばあちゃんが、とってもよろこんでくれたの」
「ニャア!」
よかったね、と言っているように見えた。
「きっと、キミが見守ってくれたからかもね。しあわせを運んでくれて、ありがとう。これからも、ゆかたちを守ってね」
「ニャッ!」
二人は笑顔を見せ合った。
「ゆか――っ!」
「あっ、ママの声だ」
作品名:超短編小説Ⅲ 家の守り神 作家名:永山あゆむ