エイユウの話 ~夏~
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ある日、私は課外授業先で不思議な男に出会いました。法師ではないその男からは、大量の魔力が流れ出ていました。思わず私は彼に声をかけました。
「あまり魔力を垂れ流していると、死に至ることもある。注意したほうがいい」
すると驚いたことに、男はこう言ったのです。
「魔力とは何だ?私の体から生命の元が流れ出ているのは本当なのか?」と。
この答えに、私は思わず目を丸くしました。男は魔力の存在自体を知らない、無魔力人種だったのです。
――――――『黄金の術師(ジャーム・エワ・トゥーロル)』第一部第二章より抜粋
作品名:エイユウの話 ~夏~ 作家名:神田 諷